プラスチックゴミ問題の「見える化」することを目標に、日本全国47都道府県からプラスチックゴミを集めて日本地図を作るプロジェクト。
新型コロナウイルスの影響で環境保全のボランティア留学が中止になったことがきっかけで、海洋プラスチックごみのアクセサリー作家になった私(高橋あすか)が、高校3年生の夏休みに始めました。
主にインスタグラムなどSNSでの呼びかけを通して、70人以上の人が拾ったプラスチックゴミを送ってくださり無事に日本地図を完成させることができました!
この記事では、このプロジェクトを始めたきっかけや、どのようにして全国からゴミを集めたのかなど、美海プロジェクトの発案者であり、たった一人の運営者である私が、美海プロジェクトの全貌を語ります。
美海プロジェクトの誕生秘話
【すべての始まり】
ことの始まりは2020年7月。私が高校3年生の夏休みに、南米エクアドルの赤道直下ガラパゴス諸島での環境保全のボランティア留学を計画したことから始まりました。
小学生の頃から環境問題に興味を持っていた私は、ずっと行きたくてたまらなかった生き物の楽園ガラパゴス諸島で、現地の野生動物の生態調査など環境保全活動のボランティアとして5週間滞在する計画を立てていました。
しかし、新型コロナウイルスの影響で利用する予定だった留学奨学金制度の募集が打ち切られ、ガラパゴスでの滞在の夢は叶わなくなってしまいました。
何日もほぼ徹夜状態で納得のいくまで何度も書き直した留学計画書を前に、本当にショックでした。
それでも「あの時コロナのせいでやりたいことができなくなった」と後悔するよりも、「コロナがあったからこんなことができた」そう言える何かを見つけたい。そう気持ちを切り替えて、ガラパゴスで計画していた海洋プラスチックを使ったアクセサリー作りを始めました。
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【オーダーメイドアクセサリー】
アクセサリー作りを始めてすぐに、「販売していませんか?」との問い合わせを複数いただくようになり、オーダーメイドでのみ、販売をするようになりました。そんなふうにしてアクセサリーを作りながら、インスタグラムで環境問題についての投稿をするようになりました。
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【本当にそんなにゴミがあるの?】
アクセサリー作りやインスタグラムでの発信を通して、海ゴミ問題について考えるようになったけれど、海のない埼玉県に住んでいる私は、浜辺にプラスチックゴミが沢山流れ着いてくる光景を目にする機会は中々ありません。
でも、海洋プラスチック問題は海の近くに住んでいる人だけの問題ではありません。例えポイ捨てをしていなくても、気づかずにゴミを落としてしまっていたり、ちゃんと分別してゴミ出しをしたはずなのにカラスが突いてばら撒かれてそれが風で飛ばされ、川の流れに乗って海に流れ出すことだって十分に考えられます。
実際に浜辺でゴミが沢山流れ着いている様子を目にすることがなければ問題に気づくことが難しい。それでもプラスチックゴミ問題に気づかないうちに加担してしまっているかもしれない。
この問題を可視化してこの問題のことを考える人が増えれば、自分自身の生活を見直して必要のないプラスチックを使わないようにしたり、今よりちょっぴり環境に優しい生活を心がける人が増えるのではないか。そうしたら、今よりもっと環境に優しい選択肢が増えるかもしれない!そう思うようになりました。
プラスチックゴミ問題を可視化してみよう!

どうやって可視化すればいいんだろう?
日本全国どこにでもゴミがあるということを伝えたいから、各地からゴミを集めたら面白いかも!せっかくなら日本地図を作ってみようと思い、プラごみを集めて日本地図を作ることにしました。

どうやってゴミを集めよう?
自分で日本を周りながら集めたら面白そう!
でも学校があるから行けない。。
じゃあインスタグラムで呼びかけて、それぞれの地域に住んでいる人にゴミを拾って送ってもらったいいかも!色んな人が拾ってくれたら面白そうだし、全国のゴミ拾いしている人と繋がれたらいいな〜!
こんな流れで、郵便局宛に送ってもらい、発送の連絡を受けると私が自転車で郵便局まで取りに行くという収集法が確立しました!
色んな人に参加してもらいたい
せっかく日本中からゴミを集めるなら、普段ゴミ拾いをする人も、しない人も参加できる企画にしたい!
そのためには、沢山の人にこのプロジェクトを知ってもらうことはもちろん、気軽に参加しやすいものにしたい。
そこで、参加方法を3つ作りました。
参加方法① SNSでシェア
このプロジェクトのことが気になったら、その場でシェアするだけで気軽に参加ができる!ゴミ拾いはハードルが高いと感じる人も、気軽に参加できます!
参加方法② ゴミ拾い
通勤通学の時に足元にあるゴミを拾うだけでOK! もちろんゴミ袋やトングを用意して、1時間ガッツリゴミ拾いするのもよし。
参加方法③ 拾ったゴミを送る
ゴミ拾いをして、拾ったゴミを洗って郵送!
そして、もっと沢山の人に興味持ってもらえるように景品も用意しました。
【オーダーメイド権】
末永く使ってもらえるように、その人のお気に入りをプレゼントしたい!だから最初から景品を作って用意しておくのではなく、参加してくれた人の中から抽選で当選した人の要望に合わせて作成するスタイルにしました!
(オーダー作品の例)
①オーダー
こちらは金魚のストラップを作ってほしいとのご依頼。
金魚の写真を送ってくださいました!
②イラスト化
送っていただいた写真のままだと私はうまく再現して作ることができないので、絵がとっても上手な友達に頼んでイラストにしてもらいました!
③作成
描いてもらった絵をもとに、プラスチックゴミを使ってストラップを作成します。
美ら海プロジェクトスタート!
プラごみが届いた!
プロジェクト開始後まもなく、初のプラごみが届きました!なんと、とっても素敵なメッセージカード付き!
その後も愛媛県、静岡県、福井県と続々と届きました。
日本地図どんなのつくる?
海洋プラスチックアクセサリーをもともと作っていたから、その作り方で各都道府県のピンバッジを作ろうか?などいろんな案を考えましたが、できるだけ新しいものを使わない方法で作成したい!各地域のゴミの特徴がわかるような地図にしたい!という思いから、シンプルに木の板に都道府県の形に合わせてゴミを貼り付けることにしました!(板サイズ:約90cm×90cm)
せっかく板を用意するのなら廃材を使いたい!と思って探したところ、祖母の家に雨ざらしになっていた正方形の木の板を発見!

早速汚れを落として使うことに!(汚れを落とすときも要らなくなった靴下を使いました!笑)
プラごみを貼ったときに目立つように、家に余っていた白い塗料を塗ります。
立派なキャンバスが完成!これに送ってもらったプラごみたちを貼り付けていきます!
意外と難しい貼り付け作業

従姉妹や妹、両親も地図作りを手伝ってくれました!
送ってもらったプラごみをただ板に貼り付けるだけ。そう思っていましたが、実際にやってみるとなかなか難しく、とにかく時間がかかる!
アート性のあるデザインにすることを目標に、この二つの点だけは守って作成しました!
①その地域特有のプラごみが送られてきた時は必ず入れる。
②日本地図らしくするため、またそれぞれの地域から送られてきたゴミだということを分かりやすくするために、隣り合う県同士の色を変えるなど、県境がわかるデザインにする。
各地域の特色が見れて面白い!
【牡蠣の養殖】
沢山届いて驚いたのが、このパイプ状の筒のようなプラスチックと、穴の空いた円形のプラスチック。
これは牡蠣の養殖に使われる道具なのだそう。
このプラスチックパーツは、広島・岡山・愛媛・山口・大分から沢山届きました。
【ワカメの養殖】
こちらは徳島県から届いたプラごみたち。写真に写っているビニール紐はワカメの養殖に使われるものなのだそう。ワカメを収穫する2月頃には特に大量に見つかるのだと送ってくださった方から教えていただきました。
【レジンペレット】
こちらは未加工の原料で、このペレットが再融解されて普段私たちが使っているプラスチック製品になります。
これは神奈川県から沢山送られてきました。
第一弾と第二弾
7月18日〜8月20日の間で開催した美ら海プロジェクト【第一弾】では、100人以上の方が参加してくれて、18の県と北海道からプラごみが集まりました!
この第一弾は、高校3年生のときに開催したので夏休みの期間に合わせて期間を決めて行いました。第一弾が終了した後も地図が完成するまで集めると決め、その後も集め続けました。
そして2021年1月1日に美ら海プロジェクト第二弾を開始。(第一弾・第二弾の期間中はオーダーメイド権のプレザントありで、その他の期間はプレゼントなしです。)
全部集まった!
第二弾が終了後、3月31日、全ての都道府県からプラごみが集まりきりました!
70人以上の方が送ってくれました!(参加人数はもはや分かりません💦)
日本地図完成!
各地域ごとの地図の写真はこの記事の一番最後にまとめてあります。
参加者の声

いつもゴミを拾っては、何かに活用したいと思っていたから、自分の拾ったゴミが形になって嬉しい!

拾ったゴミを地図にするっていう発想はなかったから面白かった。

それぞれの都道府県のイメージがデザインになっていてかわいい!

初めてゴミ拾いをして、いつも気づかずに通っていた道なのに、探してみるとゴミが沢山あってびっくりした!
ゴミを集める企画はなかなかなく、拾ったゴミが形になるのが嬉しいとの声を沢山いただきました!
ご参加くださった皆さん、本当にありがとうございました!
感じたこと
まず、インスタグラムを始めてから驚いたことは、日本にも環境問題のことを考えて行動している人がこんなにも沢山いるんだ!ということ。私の周りには、環境問題のことに興味のある人は少なく、美ら海プロジェクトもたくさんの人に協力してもらいながらも、最後まで一人で運営してきました。(よく、何かの団体に入っているの?と聞かれることがありますが、私はずっと個人的に活動してきました。)そんな中、この美ら海プロジェクトを通して実際に行動しているたくさんの方々と出会うことができて、このプロジェクトを始めて本当に良かったなと感じています。
そしてそれと同時に、今まであまり環境問題に興味がなかったり、「何かしなきゃとは思うけど何をしたらいいか分からない」という方も参加してくれました!
なかなか、環境問題のことを学ぶイベントなどがあっても、もともと興味を持っている人しか参加しなかった、、なんていうこともあると思います。そんな中、この美ら海プロジェクトをきっかけに始めてゴミ拾いしてみた!という声も多く寄せられ、とってもうれしかったです。
そしてこの美ら海プロジェクトを通して、「世界のどこか遠くのところで起きている」というイメージから、「自分の生活と密接に関わっている身近な問題」だと感じてくれる人が増えたら幸いです。
取材・展示 大歓迎です!
このプロジェクトは、みんなでプラごみの日本地図という一つのアート作品を完成させ、地図を通して問題を知るきっかけ作りを目指したものです。
作っただけで終わらず、この地図を使って環境問題について考える機会を増やしていきたいと思います。美ら海プロジェクトの地図の展示や、美海プロジェクトについての取材大歓迎です!お問い合わせはインスタグラムなどSNSのDMや、メール asuka@cnp.co.jp までお気軽にご連絡ください。
今は日本一周中
地域ごとの環境問題を現地に行って調べたり、日本全国の環境関連の活動している方を尋ねてお話を聞いたりしながら、学んだことをこのHPやSNS ( InstagramやFacebookなど)でシェアしています。旅の模様も載せていくので、よかったらSNSフォローよろしくお願いします♪
複雑に絡み合っていて分かりづらい環境問題や社会問題を、さまざまな切り口で見てみて、“みんなで一緒に考える” ためのきっかけ作りをしていきます。
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